おばあさんのリンゴパイ

小さな町の端に住むトムは、食べることが大好きな少年だった。野菜も果物も好き嫌いせずに食べていた。
特に彼のおばあさんが作る大きなリンゴパイは、彼にとって最高のご馳走だった。

だがある日、町に異変が訪れ、作物が次々と枯れていった。原因が分からず、人々が真心込めて育てていた作物がどんどん失われていく。
ついにトムの町は飢餓に見舞われ、人々は食料を求めて遠くの町まで足を運ばなければならなくなった。

トムは家族とともに飢える日々を過ごした。
肌寒くなったころ、トムはおばあさんのリンゴパイが恋しくてたまらなくなった。

“大きくてホカホカで甘い香りのするおばあさんのリンゴパイ。また食べたいな…。”

そんな彼はすぐさま行動を起こした。
町の周りに残っているわずかな野菜や果物を集めて、おばあさんのためにリンゴパイを作ることに決めた。

しかし、トムは思った。

“リンゴパイはとても食べたいけれど、飢餓が進む中で町の人々のためにも何かできることはないのかな…。”

そう考える中で、トムは知恵を絞り始める。
そしてひらめいた。

“新しい食べ物を作ってしまえばいいんだ！”

彼は町の人々と協力して、新しい食べ物を栽培する方法を探し始めた。
種を探し、土地を耕し、新たな食料を生み出すための方法を探求したのだ。

トムは人一倍頑張った。皆の喜ぶ顔を見るために。

やがて、彼らの努力が実り、町には新しい食べ物が育ち始めた。
そして、トムのリンゴパイも再び作られるようになり、人々は飢えから解放された。

少しして、町は再び元のような活気を取り戻し、新しい食べ物に対する感謝の気持ちが広がっていった。
飢餓によって苦しい日々を強いられたトムと町の人々であったが、視点を変えて物事を捉えることの大切さ、そして人々のために行動することの有意義さを知ったのであった。