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おきんさんの料理メモ
おきんさんの料理メモ

おきんさんの料理メモ

私の故郷は、石川県の片隅にある小さな町です。ここで私、相澤幸恵は料理研究に没頭し、将来は料理人になることを夢見ています。

ある日、私は古い料理本をめぐる研究をしていました。なかなか研究が進まずに詰まっていた時、

「おばあちゃんの“料理メモ”、どこだろう」

私はふと思いました。先月亡くなった祖母は大の料理好きで、その日作ったレシピを必ず手帳(通称“料理メモ”)に残していました。祖母の遺品箱を探してみると、奥底から古びた手帳を発見しました。その手帳の表紙には、“おきんさんの料理メモ”と書かれていました。

「おきんさん…?誰だろう」

祖母は、料理メモをいつも自分の部屋にある棚にしまっていたので、私はその時初めて料理メモをちゃんと見ました。ゆっくりと手帳を開くと、昔ながらの地元の料理や調理法が詳細に記されていました。

「あ、あの日作ってくれたカレーだ」

美味しい記憶と懐かしさのあるレシピに興奮を覚えながら、ひとつひとつのページをめくっていくと、運命的な出会いが待っていました。

手帳の裏表紙の内側に、石川県の山奥に住む老婆の記述がありました。その老婆の名前は「おきんさん」と記されていました。手帳の表紙に書かれている「おきんさん」がこの老婆だと分かった私は、祖母とどういう関係なのか知りたくなりました。裏表紙の下に、まるで祖母が私を誘導するかのように老婆の家の住所が書かれていました。

「行ってみなきゃ」

そう感じた私は、早速老婆を訪ねることを決意しました。

「優しい人だといいな」

そう願いながら、長い山道を歩き、周りの自然の息吹を感じながら、私の興奮は高まっていきました。

やがて、小さな家が見えてきました。玄関には「松井」という表札があります。

「ここであってるのかな…」

私は少し緊張した胸を感じながら、ドアをノックした。

「御免下さい」

すると、パタパタと足音がしてドアが開いた。そして、素朴な笑顔を浮かべた老婆が私を出迎えてくれました。

「はい、どちら様ですか?」

「あの、私隣町に住んでいる相澤幸恵と申します。急に押しかけてしまいすみません。
あの、松井おきんさんのお宅で合っていますか?」

「はい、私が松井おきんですが…。相澤さん…。もしかして、相澤チコさんのお孫さん?」

「え!そ、そうです…!」

私は驚きました。相澤なんて苗字はいくらでもいるのに、なぜわかったのでしょう。

「よく来てくださいましたね。さあ、どうぞ。」

そう言って、なんの躊躇もなく家へ招き入れてくれました。

なんだか懐かしいにおいのするおきんさんの家には、大きな棚にたくさんの料理本が置いてありました。

「チコさん、最近忙しいのかしら?元気にしてる?」

おきんさんはこう言いました。私はさっそく祖母の手帳を見せ、祖母が亡くなったことと、ここに来た理由を説明しました。すると、おきんさんは驚きました。おきんさんは祖母が亡くなったことを知らなかったのです。私は、祖母とどういった関係なのか問いました。

彼女は料理人「おきんさん」として、多くの人々から尊敬されていました。生前、祖母はおきんさんの言わば“ファン”であり、おきんさんの料理本を愛読していたのです。ですが、歳を取ったおきんさんは料理人を引退し、地元である石川の山奥でひとり静かに暮らしていました。

ある時、私の祖母が友人に会うため隣町へ訪れた際、偶然おきんさんに出会い、“ファン”であったことを伝えたそうです。祖母は、まさか隣町に尊敬するおきんさんが住んでいるとは思わずとても喜び、おきんさんもまた、引退した後もファンでいてくれる人がいることを誇りに思ったそうです。おきんさんは祖母の手帳を開き、どのレシピも自分と一緒に作ったものだと話してくれました。出会った日を境に二人は親しい仲となり、祖母はよくおきんさんの家に訪れて料理を教えてもらっていたそうです。それも、二人だけの内緒で。

おきんさんは祖母の連絡先を知っていましたが、最近連絡がないので心配していたところだと話しました。悲しむおきんさんに、自分も料理人を目指していることを話しました。すると、おきんさんは笑顔になり、こう言いました。

「私でよければ、あなたに料理のこと教えたいわ。」

私はとてもうれしかったです。毎日料理のことを考え、研究する日々に少し疲れていたころでした。

その日を境に、私はおきんさんの家に招かれ、彼女の調理法を学び始めました。彼女の料理は、石川県の豊かな自然の中で育まれた素材を最大限に活かしたものでした。山菜や川魚、季節の野菜を駆使して、彼女は独自の味を生み出していました。まさに、祖母が作ってくれていたあの味でした。

その日から、私はおきんさんのもとで日々料理を学び、彼女の知恵と技術を吸収していきました。彼女は私にとって師匠であり、大切な存在となりました。

そして、私が彼女のもとで学んだ料理は、石川県の伝統と革新を融合させたものとなりました。私の料理は、彼女の教えを背景に、地元の素材と技術を活かしたものとなり、多くの人々から称賛されるようになりました。

おきんさんとの出会いは、私の料理人人生において転機となりました。彼女から学んだことは、私の心に永遠に刻まれるものとなり、私の料理の基盤となりました。石川県の恵みを受け継ぎ、伝えていく使命感を胸に、私は料理研究家としての道を歩み続けます。

そして、私はついに本を出版することになりました。その本の題名は、ずっと前から決めていました。

あの二人の秘密の手帳、「おきんさんの料理メモ」です。

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